平成21年元旦

新年のご挨拶

 











早稲田材料工学会会長 神尾 彰彦

新年おめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


 平成20年4月1日に「マクロ材料コース」(運営委員長 山崎淳司教授)が理工学術院創造理工学研究科(大学院)の中に設立していただき、同研究科内の全専攻にまたがる「材料」に関する教育の場ができました。材工会としてこれまで念願し、お願いしてまいりました 早大理工に材料教育のが、まだ萌芽の状態ではありますが、設置され運営されだしました。大変喜ばしく、感謝いたしております。


 材工会の多くの会員の皆様から、材料系学科の再興 を願っている声を伺いました。今年平成21年度で物質開発工学科の学生がいなくなり学科が完全になくなります。卒業した学科がないと、卒業生としては拠りどころがなくなるし、張り合いがないし、早稲田とのつながりが薄れる、という懸念の声が聞かれます。また材料コースは大学院に設置されているため、学部の学科がなくなると、マ クロ材料コースへの志望者も少なくなるのではないか、危惧もあります。


 21世紀のわが国の方向として第三期科学技術基本計画に おいては「ナノ・材料」が重点項目の1つになっていることから、日本の大学においては、旧国立大学においてもナノ材料の教育・研究を行うように改組を行っ ています。このためマクロ材料を担う材料系の教育は多くの大学で不十分な状態になっており、日本ではマクロ材料の人材育成に関しては危機的な状況になって います。


 早大理工金属系材料は、これまでにマクロ材料技術・材料工学を基盤とする素材材料メーカーおよび材料ユーザーの産業に優れた人材を送り出し、多大な貢献をしてまいりました。そしてこれらの産業は社会の 持続的な発展に大きな役割を担ってきました。これからのマクロ材料は、低炭素社会に向けて地球資源や地球環境を考えた材料とその製造方法の研究開発、人類 および環境に安心安全な材料の研究開発等を通して社会に貢献することを目指していくべきでしょう。しかしながら、日本の現状はこの分野で教育された学生が少ないのが現状のようです。


 昨年10月11日に開催された早稲田大学各務記念材料技術研究所 (旧 鋳物研究所)創立70周年記念行事(材工会も後援いたしました)におきま して、白井総長はご祝辞の中で、理工学部再編の折の材料系学科の消滅は間違いで、材料の研究の伝統が途切れてしまっている。材料は非常に重要な基本技術で あるとおっしゃられました。


 今こそ早稲田大学の存在意義を内外に示すべく理工に材料系の専門学科、専攻を設立し、材料メーカーはもちろんのこと、材料ユーザーに対しても期待される人材を送り出し、産業界に貢献できるようになることを材工会とし て強く望んでおります。


 マクロ材料コースは、日本での鉄鋼、非鉄の材料製 造産業ならびに種々の材料を利用する自動車工業、輸送機器工業、機械工業、化学工業等の企業の、いわゆる材料を作る側と使う側の知識をもつ、特徴ある人材 の輩出をめざしています。しかし現時点では、本コースの教育システムはまだ不十分でありますので、本年は引き続き、教育内容の改善、改良に向けて、材工会 として応援しお願いをしてまいります。


 今年も金属系先端材料シンポジウム(第3回)を計画しております。より多くの企業の皆様が参 加を望まれていますが、時間的制約がありますため、新しい企画のもとに行う準備を進めております。会員の皆様には、現在のところ材工会としての集まりがありませんので、このシンポジウムにご参加くださるようお誘い申し上げます。開催日時等が決まりましたらご案内申し上げます。


 材工会会員皆様へのご連絡は経費の関係上、E-mailのみで行い、お知らせはホームページで行っております。E-mailアドレスを変更されましたらすぐに事務局までご一報 ください。現在登録されております会員のE-mailアドレスはおよそ1400件です。お知り合いの卒業生で、まだアドレスをお知 らせいただいてない方がおられましたら、ご連絡くださるようお勧めください。E-mailは材工会のご連絡以外には使用いたしません。


 会員の皆様には、本年もご壮健で、ますますご発展 されますよう心より祈念申し上げますとともに材工会活動に一層のご支援をお願い申し上げます。


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