「マクロ材料コース」が設置されました

早稲田材料工学会会長 神尾 彰彦

 平成20年4月の新年度から、早稲田大学理工学術院創造理工学研究科大学院専攻課程に材料について教育する場の「マクロ材料コース」が設置されました。

 この専修コース制度は、山川創造理工学研究科長、橋本理工学術院長、柳澤理工学術院長補佐、各先生方のお力添えによるものであり深く感謝申し上げます。材料工学会各理事の強い不断の熱意が理工学術院の執行部の 先生方に通じまして、材料に関する教育の場が設置されたと思います。理事の皆様、材工会の先生方に厚く御礼申し上げます。

 「マクロ材料コース」は創造理工学研究科に所属する総合機械工学専攻、地球・環境資源理工学専攻、建築学専攻、建設工学専攻、経営システム工学専攻の5専攻横断的な教育組織とした専修コース制の大学院教育で、 旧物質材料理工学専門分野所属の不破先生(地球・資源理工学専攻所属)、堀部先生、吉田先生(総合機械工学専攻所属)を中心に素材、材料に係る教員による教育システムです。このマクロ材料コースを修了しますと、主専攻の修了証書に加えて、「マクロ材料コース修了書」が付与されます。また、「マクロ材料コース」は、物質開発工学科が消滅し、物質開発工学科の卒業生がいなくなる平成22年度から、本コース修了学生の材料系企業等の就職のひとつの窓口となります。

 このコースは本来の材料工学教育から見ますとまだ芽の状態で、これを核としてさらに内容を充実させて発展させていかなければなりません。旧物質材料理工学専門分野の先生のなかには他の研究科(基幹理工学研究 科、先進理工学研究科)に所属している先生方がおられますので、他の研究科の先生方にも講義を担当していただき内容を充実させ、3研究科にまたがる制度に発展させ、全学的な「材料工学」 の教育の場となるよう今後さらにお願いをしてまいります。会員皆様の強力なご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。






専修コース「マクロ材料コース」について

理工学術院創造理工学部教授

(早稲田材料工学会副会長)
不破 章雄

この4月の新年度より、創造理工学研究科(大学院)に専攻横断的な教育組織として、専修コース「マクロ材料コース」が設立され、引き続き、マクロ材料(主として重厚長大的な材料)の教育を行うことになりました。

 現在、理工学系の新体制では、従来の材料の教員が、「材料を作る側」から、「材料を使う側」に立場を変えて、教育・研究をすることになりました。しかし、材料には長い歴史的な技術的蓄積や系統的な学問体系があり、材料を作る側での「学問、技術」を引き続き継続していくことは、「材料を使う側」にとっても大変に重要であり、双方が相互に協力していくことが材料工業界の発展に必要不可欠であります。本コースは、現創造理工研究科の執行部の理解の下、従来の材料工学である「材料を作る側」に配慮し、そのための教育カ リキュラムに立脚したものであります。コースのコーディネーターとして、堀部教授、吉田准教授、そして、不破が、当面、コース運営に携わることになります。

 専修コース(大学院でのコース)は、学生が所属する各専攻課程において、専攻横断的に特定のコース科目を系統的に履修し、そのコース分野での専門性を深めるためであります。すなわち、ある特定の専攻、例えば、総合機械専攻や環境資源専攻の教育・修了に加え、「マクロ材料コース」の教育を受け、修了することになります。いわば、専修コースは、副専攻的な役目を果たすコースとなり、学生に対して、教育内容の充実、多様性への対応、卒業後の活躍の場の拡充を図ることができる制度であります。

 本コースにより、早稲田での金属材料を中心とする「マクロ材料」の教育、研究の成果を社会へ還元し、より良い社会の構築に、継続的に貢献できることと確信しております。「マクロ材料コース」修了の学生には、創造理工学研究科から「コース修了書」も付与されることになっております。さらに、「マクロ材料コース」は、物質開発工学科が消滅し、学科の卒業生がいなくなる平成22年度から、本コース修了学生にとって、材料系企業等の就職のひとつの窓口となります。

「マクロ材料コース」は日本での鉄鋼、非鉄の金属材料製造 工業、ならびに、種々の金属材料を利用する自動車、輸送機器、化学工業等の企業へ、材料を作る側と使う側の知識を持つ、特徴的な学生の輩出を目指していきたいと考えています。

 現時点では、本コースの教育内容は不十分であります。今後、引き続き、早稲田の「マクロ材料」の教育内容の改善、改良を目指して、基幹、先進理工学研究科へ展開していくよう努力して参りたいと存じます。

 材料工学会の皆様、企業の方から、引き続き、ご支援、ご鞭撻をお願いしたいと存じます。

 ご参考のために、本年度から始まる、創造理工大学院での「マクロ材料コース」の学生ガイダンス資料を下記に添付しました。

 最後になりましたが、皆様方の一層のご発展とご活躍を願っております。

以上

(記)


専修コース制度「マクロ材料コース」について

(2008年度創造理工学研究科要項より引用)

1.専修コース制度とは

 創造理工学研究科は、工学系の専攻である5専攻で構成され ています。この5専攻は創造理工学部の5学科の学部教育に基づいた大学院教育を展開しており、いわば学部・大学院一環教育を通して大きな成果をあげています。一方で、工学系はお互いの境界を越えた学際的な分野における教育・研究が求められており、社会もこれらの学際的分野における教育に大きな期待を寄せて いることから、大学院教育を受けるための社会人入学者も今後増加することが考えられます。

 そこで、創造理工学研究科ではこれらの要求に応える一つの方法として、柔軟性のある“専修コース制度による大学院教育”を2008年度より導入することになりました。


2.「マクロ材料コース」の概要

 現代の文明社会において、人類の幸福・安心・安全の観点から工業材料の果たしてきた役割は多大なものです。21世紀社会においては、さらに地球環境保護を志向する材料が要求され、エネルギー関連分野における効率的な材料開発、宇宙・海洋および輸送機器分野あるいは大型建設構造物分野では環境耐久性や材料信頼性の確保が最重要課題となっています。本コースでは、社会基盤産業を支える材料学を専攻横断的な観点から修得し、近未来に人類が直面する材料学的諸問題にも対処できる能力を育成します。


3.単位認定科目名、設置専攻および担当教員

*コー ディネーター教員):

素材工学特論(不破*: 環境・資源、隔年開講)
素材プロセス工学特論(不破:環境・資源、隔年開講)
輸送機器・エネルギー材料特論(吉田*:総合機械)
材料強度・破壊学特論(堀部*:総合機械)
新構造材料(堀部、他:総合機械)
鉄鋼材料学(寄附講座、総合機械)
材料デザイン特論(西原:総合機械)
応用鉱物学特論(山崎:環境・資源、隔年開講)
素材物質科学特論(山崎:環境・資源、隔年開講)
建築材料特論(輿石:建築)


4.進入要件・修了要件

(1)進入要件

1) コース進入対象者は、創造理工学研究科在籍者とする。
2) 本コース受講希望者は履修科目等について事前に指導教員およびコーディネーター教員と十分相談しておくこと。
3) 本コース受講登録届(別紙)を指定の期間に教学支援課へ提出すること。

(2) 修了要件

1) 本コース修了必要単位数は、本コース単位認定科目から10単位とする。
2)創造理工学研究科における各専攻の修士課程の修了(見込)要件、ならびに本コースの修了(見込)要件を満たした学生には、各専攻の修了(見込)証明書とともに、コーディネーター教員の審査を経て本コース修了(見込)証明書を発行する。


5. その他

本コースに関する質問がある場合、下記のコーディネー ター教員に問い合わせること。

不破章雄:akiofuwa@waseda.jp
堀部  進:horibe@waseda.jp
吉田  誠:makoto-yoshida@waseda.jp

以上

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